Apple Pencilよりも安く購入できて、尚且つApple Pencilと同じ精度で描けるスタイラスペン「Logicool Crayon (ロジクール クレヨン)」が日本でも発売されました。今回はApple Pencilと比較しながら、購入前に抱いていた疑問を解決しつつレビューしていきます。
この製品は第6世代iPadにのみ対応します。ご注意ください。
日本での販売価格は予想よりも高め。でもApple Pencilよりかなり安い
「Crayon」スタイラスペンがイベントで発表された時点では、49ドルというApple Pencilの半額近い値段で話題となりました。ところがいざ日本で一般向けに販売されると7,880円(税別)という価格設定になっており、購入を躊躇した人も多いのではないでしょうか。
私も7,000円以下になると予想していたのですが、税込で8,510円となればあまり気軽に買える価格ではないですね。そもそも教育機関向けとでは値段設定が違うようです。
予想よりは高めでしたがApple Pencilの11,664円(税込)よりは「Crayon」の方が3,000円ほど安い計算となります。少しでも安いほうがよいという人は検討してもいいでしょう。
商品パッケージと製品の中身をチェック
現時点ではApple Storeでのみ購入できます。店頭に陳列されていることもなく試用もできないため、そもそも知っている人が少ないようです。私が店頭で買い求めたときもApple Storeの店員さんでさえ見たことないと言ってました。
同梱されているものは本体のほか紙の保証書や説明書のみです。解説書にも充電方法が図で簡単に解説されているだけで具体的な仕様はよくわかりません。
詳しくはウェブサイトで確認してくれといったところでしょうか。
ペン本体を取り出してみたところ。Apple Pencilと同様に重心はやや後ろ気味。アルミニウムの軸は握りごごちがよく、四角いデザインでも角がゴツゴツしているような感じもありません。派手なオレンジ色は見つけやすいとは思いますが好みは分かれるでしょう。
Apple Pencilより転がりにくく目にとまりやすいため紛失しにくいデザインです。子供向けのおもちゃのような雰囲気。
ペンの後ろ側のゴムパーツにはキャップがついており、開けるとLightningコネクタが見つかります。Apple Pencilと違い専用アダプタを使わずにLightningケーブルで充電できるのは大きなメリットだと思います。バッテリーの持ちはApple Pencilよりやや少なく満充電から約7時間使用できます。
ペン先の形状はApple Pencilと違いはないように見えます。アルミ製のペン軸との接合部分両端に小さな穴があり、試しに細い棒を差し込むと取り外すことができました。
ペン先チップはApple Pencilと同じものだった!
先端カバーを取り外すと見慣れたものが。なんと中からApple Pencilに使われているものと同じペン先チップが出てきました!先端までカバーされていて気付かなかったのですが、中身はApple Pencilと同じペン先チップなんですね。試しにApple Pencilで使っても反応しました。
ペン先チップを外して出てきたセンサー部分?のパーツも全く同じに見えます。Apple Pencilと比較してみても判別つきません。
筆圧は非対応ということですが、それ以外の性能は全く一緒だと考えてよさそうです。画面に対しての書き味も同じだと思います。
第6世代iPadで使うには、電源スイッチのマークのある部分を1秒ほど押さえます。電源をオフにする場合も同じように1秒間押さえます。さらに30分使用しないと自動で切れる仕様になっています。
Bluetoothによるペアリングが不要なのはいいですね。おそらくiPad側のセンサーに反応して自動的に描画できるようになる仕組みでしょう。
さらにこの電源ボタンは短く押すと大まかなバッテリー残量を確認できます。ボタンを押してLEDライトの色を以下のように確認します。
- LEDライトがグリーンで点灯 → バッテリー残量10%以上あり
- LEDライトがレッドで点灯 → バッテリー残量10%以下
- LEDライトがレッドで点滅 → バッテリー残量5%以下
「Crayon」はApple Pencilの代わりとして使えるか?
実際に「Crayon」でいくつかのアプリに描画してみました。
水墨アプリ「Zen Brush 2」を使ってペンの傾きがリアルタイムで感知されていることを確認できました。描くスピードでも線が掠れるなど変化があり、筆圧が無くてもそれなりに線の強弱を楽しむことができます。
定番のお絵かきアプリ「Procreate」では、長いストロークでは途中から描画が消えてしまうなど使用に耐えない状況でした。開発元には報告済みですので、次のアップデートには修正されるのではないでしょうか。
スケッチアプリ「Paper — FiftyThree」ではペンなどの主要なツールで違和感はありませんが、鉛筆ツールでは傾きには反応しているものの色が薄いです。Apple Pencilで筆圧がゼロの状態と認識されているようです。やや使いづらい。
ほかには、手書きメモアプリの「GoodNotes 4」「Noteshelf 2」「Notability」では筆圧に対応しないだけで支障なさそうです。
いくつかアプリを使った結果としては、やはり製品がマイナー過ぎて対応が不足しているアプリが多かった。今後状況は改善されていくものの、現時点では思うように使えないことがあると認識しておくべきです。
パームリジェクションやペン先の精度はApple Pencilと同じく高品質で遅延が少ないものです。(このパームリジェクションはiOSレベルの機能であり、ほかのBluetoothスタイラスで提供されるものとは全く違います)
「Crayon」は特定のユーザーにはApple Pencilより適したスタイラスペン
筆圧感知を除けばApple Pencilと性能は同じですから第6世代iPadで使う分には問題ありませんが、平たい形状は日本では文具として一般的ではないのでデザインの好みは分かれそうです。やはり筆圧感知が有効なアプリを使いたい人は、素直にApple Pencilを買うのが無難だと思いました。
一方でペン先やキャップが外れないこと、ペアリング不要でBluetoothを使用しないことなど製品としての違いがメリットとして捉えられる環境もあります。例えば小さな子供が使うには外れやすいキャップやペン先は不適切です。店頭でサインや記入を求めるような場合も、転がってしまったり目立たない製品は扱いにくい。そのような環境ではむしろ「Crayon」でないと困ることさえあるでしょう。
「Crayon」でできること・できないこと
最後に「Crayon」で試してみてできなかったこと・できたことを列挙しておきます。気になっていた方は購入の参考にしてみて下さい。
- モバイルバッテリーから充電できます。
- 充電しながら使用できません。
- Apple Pencilペアリング中は使用できません。
- バッテリー残量はiPadから確認できません。
- 第6世代iPad以外では反応しません。
- ペン先チップの交換できました。
- Apple Pencilと同じようにインスタントメモできる。
- 後ろのキャップパーツは外せます。
- 使用に耐えないアプリがある。
- Apple Pencilと同レベルのパームリジェクションに対応する。
↓Apple Pencilのようにアクセサリが充実していないところも少しマイナスです。
コメント
はじめまして。
この間、apple京都に行った際に、「Logicoolのペンあります?」と店員さんに聞いたら、「apple pencilしか置いてないんです。ごめんなさい」って言われました。
本日、こちらのLinkからapple storeに飛んで確認したら、apple京都で即日受取可でした。店員さんも知らなかったのか、その時、まだ、置いてなかったのか。
そう言えば、前にはapple storeオンラインで探せなかったので、まだ、扱う前だったのですね。
こちらの記事でipad第6世代専用のように書かれているので、ある意味置いてなかって良かったです。僕はipad mini4 or iphone7 plusで使うつもりだったから。
とても役に立つ記事、有難うございます。
はじめまして。Necojitaです。
iPadはどのモデルも外観にほとんど違いがないので
Apple Pencil対応の違いもぱっと見ではわかりませんよね。
たぶん間違えて購入している人も一定数いるでしょう。
Crayonに関しては情報が少ないので誤解もあると思います。
今回の記事で少しでもお役に立ててなによりです。
Apple Pencilも、付属のアダプタを使えばLightningケーブルで充電できるはずです。
「アダプタ無しで充電できる」と補足が抜けていました。
ご指摘ありがとうございます。
訂正させていただきます。