Jot Script | EvernoteとAdonitとのコラボで実現した極細iPadスタイラスペンレビュー [後編]

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「Jot Script」はiPadスタイラスペンの1つの壁を越えたようです。iPhoneリリース時より多くのユーザーが望んでいた”ボールペンのように細いスタイラスペン”をEvernoteとAdonit社のコンビが遂に実現しました。
前編と後編の2回に分けて詳細にレビューしていきます。

▼前編はこちらから
Jot Script | EvernoteとAdonitとのコラボで実現した極細iPadスタイラスペンレビュー [前編]

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Bluetooth接続をしない状態でJot Scriptを使い続けているうちにペンの傾きによるズレの規則性が見つかったので、以下にまとめてみました。iPad4・iPad2・iPad miniを対象に検証しています。

スタイラスペンの傾きによる描画位置のズレ

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iPadの縦方向(長い方)ではペンを傾けてもズレはほとんど見られませんでした。強く傾けても影響が見られなかったので、縦方向での精度は良好だと言えるでしょう。

一方で横方向については少し傾けるだけで描画位置のズレが顕著に見られました。強く傾ければ傾けるほど、ペン先から描画位置がズレていく(傾けた方向へズレる)ため垂直に立てて使用するなど使い方を工夫する必要があるでしょう。

以上のことからJot Script SDKと呼ばれる描画位置を補正するプログラムが含まれていないアプリではiPadを横位置で使用するのが一番正確に描けることになります。

Jot Script SDKの描画位置の補正の効果

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現時点でJot Script SDKに対応しているのはPenultimateのみで、Bluetooth接続によって横方向のズレなどを補正してくれます。
描画位置の補正で気をつけたいのが、「手首の位置」設定です。この手首の位置に合わせて補正の加減が変わってくるため自分の手の置き方に合わせて選びましょう。

Jot Script SDK使用時にはペンを傾けても正確に補正されるように調整されているため、Jot Scriptには「傾き検出」など公開されていない何らかの機能が備わっていると思われます。

遅いストロークの斜め方向に弱い

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水平垂直に直線を描くときには気づかないのですが、斜め方向にゆっくり線を引くとストロークが蛇行してしまうようです。これは文字を書くくらいのスピードでは発生しませんが、ゆっくりときれいな線を描くときには致命的な欠点になるでしょう。

iPad画面の端での描画位置のズレは無し

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スタイラスペンの傾きとは別に、iPadの画面の端で起きる描画位置のズレを確認してみました。結果としては「ズレはほとんど発生しない」ようです。ゴムやディスク型のスタイラスペンでは通常描く場所によって少しずつズレが発生するのが普通なのですが、Jot Scriptでは描く場所でズレることは気にする必要はないと思います。

手書きノートアプリとJot Script

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Jot Script SDKに対応しているPenultimateでは描画補正やリストガードが利用できますが、まだ調整が必要な部分もあるようです。文字を小さく書きすぎるとストロークがキャンセルされてしまうことなど若干ストレスを感じるときもあります。

SDK非対応のBamboo PaperやGoodNotesなどのノートアプリでもiPad横位置で使用すれば気持ちよく書けるのでおすすめです。

Bamboo Paper – ノート (2.2)
カテゴリー:仕事効率化
価格:無料
開発:Wacom
GoodNotes 4 – 手書きでノートを取り、PDFに注釈を付けよう (4.0.1)
カテゴリー:仕事効率化
価格:500円
開発:Time Base Technology Limited

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Paper by FiftyThreeではアプリが独自の描画補正を加えているため、Jot Scriptでは少しズレが感じられます。

Paper by FiftyThree (1.5.1)
カテゴリー:仕事効率化
価格:無料
開発:FiftyThree, Inc.

ペイントアプリとJot Script

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ペイントアプリでは細いペン先のおかげで全体のバランスを見渡しやすくなり、書き込みのバランスを確認しやすい。一本の線を正確に描きたいときには、やはりズームして描く必要がありますが、ラフスケッチなどでは非常に効果的だと思いました。

iPadとJot Scriptでペンタブレットの代わりになるか?と言われると筆圧機能がない点を除けば、かなり近い感じで使えます。下書き用途ならもう充分だと言えます。

【追記】斜め方向にゆっくり線を引くときに蛇行するため、精度の高いなめらかな線が要求されるような絵には不向きです。特にSketchBook Proではストロークを滑らかに補正する機能を生かせません。ラフスケッチ向け、もしくはストロークを重ねて厚塗りするような絵柄で使用できると思います。

今後のJot Scriptの展開

Evernote Marketでの初回販売分は売り切れるなどかなり人気のようです。11月以降にはAdonitからの販売も開始されるので、日本の販売店でも12月くらいには取り扱いが始まる可能性があります。
Penultimate以外のアプリへのJot Script SDKの提供も始まり、今後はペイントアプリなどでも対応アプリが出てくるか楽しみに待ちたいですね。

アドビからリリース予定のスタイラスペン「Adobe Mighty」にもJot Scriptと同じテクノロジーが採用されるため、筆圧感知も備わったものが欲しいなら発売予定の来年まで待つのもありかなと思います。

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