Photoshopブラシも使える!「Procreate 5」過去最大級のアップデート登場。CMYKモードやクローン調整、ミニカラーパネルなど新機能を解説

Savageより数々の新機能を追加してよりパワフルに進化した、iPadペイントアプリProcreateバージョン5.0がリリースされました。このアップデートによりCMYKカラー表示やPhotoshopブラシのインストールなどの機能が使用可能となります。
アプリは買い切りですでに購入済みのユーザーも引き続き無料でアップデートできます。(iPadOS13.2以降のiPadでのみアップデートできます)

Procreate 5の主なアップデート内容

Procreateバージョン5.0の主な新機能は以下のリスト(公式リストから抜粋、編集)のようになります。

ペイント機能の強化としては、Photoshopブラシがインストールできるようになったため、描画の選択肢が大幅に増えました。合わせてカラーダイナミクスやデュアルブラシといったブラシパラメータが大幅に追加されています。

レイヤーを用いたアニメーション作成時には、アニメーションアシストをONにしてオニオンスキンやタイムラインの表示ができます。作業効率が向上しアーティスティックなアニメーション制作が捗りそうです。

  • アニメーションアシスト
  • ブラシスタジオ
  • 新グラフィックエンジン
  • ブラシを組み合わせる(デュアルブラシ)
  • カラーダイナミクス
  • ミニカラーパネル(カラーパネルの移動)
  • カラー履歴
  • カラープロファイル(CMYK対応)
  • カラーハーモニー
  • クローン調整
  • 新ブラシと新ブラシセットの追加
  • 選択、変形などツールインターフェースの改良

公式の解説ページはこちら。(英語)

Procreate® Handbook

では、ここから各機能について詳しく解説していきます。

カラーパネルにはミニパネル表示、履歴、カラーハーモニーなど実用性の高い機能を多数追加

今までは右上に固定だったカラーパネルが移動可能になり、常時表示しておけるようになります。まるでPCのフローティングウィンドウのように扱えます。

まずカラーアイコンをタップしてパネルを表示。上部にあるバーを下方向へスワイプします。ミニパネル状態になったら上部のバーをドラッグして好きな位置に配置しましょう。

ミニパネルを解除するには右上のバツ印をタップします。
ミニパネル表示はキャンバスを閉じたときにも解除されます。

カラーパネルの右上には使用中のカラーとその右隣に第2のカラーを指定できます。第2のカラーはカラーダイナミクスを加えたブラシで使用すると選んだ2色の組み合わせて描くことができます。

さらにパネルの中段には色の「履歴」が新しく表示されるようになり、過去に用いた色が10個まで保存されます。「選択部分を消去」(恐らく誤訳で消去の意味)タップすれば履歴はクリアされます。

第2カラーと履歴の表示はミニパネル状態では表示されません。これらの機能を使用したいときにはミニパネルを解除して通常の表示に戻します。

カラーの選択方法として新しく「ハーモニー」も加わりました。補色や類似色、トライアングルといった定番のカラースキームが5種類用意されています。

CMYKカラーモードに対応!ICCプロファイルのインストール機能もあり

印刷する目的でイラストを作成するには色を合わせるためにCMYKのカラーモードを設定する必要があります。以前まではsRGBかP3カラーの2種類のみだったものが、アップデートにより

まずは新規キャンバスを作成します。

新規キャンバス作成パネルの右上にあるボタンをタップ。

カスタムキャンバスの編集画面に切り替わりました。

CMYKカラーモードを選択するには「カラープロファイル」の項目で「CMYK」タブを選択。その後リストから使用したいカラープロファイルを選択します。RGBで6種類、CMYKで12種類から選択できます。

リストにはないプロファイルを指定したいときには「読み込む」からファイルをインストールできます。下記のページなどで配布されているICCファイルをインストールしておくとよいでしょう。

ICCプロファイル|Japan Color認証制度 – Japan Color 2011 Coated

ICC Profiles – End user license agreement – Japan Color 2001 Coated

インストールしたプロファイルのデータは、iPadの「ファイル」アプリで削除や追加を行います。

[このiPad内] → [Procreate] → [ICC]

究極のブラシカスタマイズツール「ブラシスタジオ」

ブラシの設定パネルは新しく全画面表示の「ブラシスタジオ」に生まれ変わりました。ここでは左側のブラシパラメータを弄りながら、右側のパッドですぐに試し書きができるような構成になっています。

試し書きスペースの上部にある「描画パッド」をタップすると、使用するブラシのプレビューサイズとカラーを切り替えることができます。「描画パッドを消去」で描画をクリアしたり、「すべてのブライ設定をリセット」が行えます。

キャンバスと同様に3本指でZを描くジェスチャーで描画をクリアも可能です。

シェイプにはPhotoshopと同様に「数」「数のジッター」やシェイプを好きな角度で変形できる機能が追加されています。「数」はシェイプをいくつ重ねて描画するかの設定、真円率(筆圧)とチルトの真円率(傾き)では円の変形をApple Pencilの筆圧や傾きを用いてコントロールできます。

グレインの設定には「テクスチャあり」の項目が追加され、異なるストロークでもテクスチャがズレることなく描画されるようになります。ハーフトーンパターンやキャンバスの質感を生かした表現に効果を発揮します。

レンダリングタブでは、ストロークのレンダリングモードをカスタマイズします。既存のグレーズにはさらに4タイプ、ブレンドは2タイプから選択可能に。またストロークの輪郭を強調できる「ウェットエッジ」「焦げたエッジ」の2つのパラメータが加わりました。

水彩境界のような効果や、ふちどりブラシのようなブラシを作り出せます。(あくまで似たような効果と考えてください)

カラーオプションにもPhotoshopと同等の色のジッターが追加。「スタンプカラーのジッター」ではシェイプの1つ1つのストローク内での変化を、「ストロークカラーのジッター」はストロークごとの変化。「カラー筆圧」「カラーの傾き」はApple Pencilの筆圧と傾きに合わせた変化をコントロールします。

自然の中の植物や岩肌など微妙な色の変化を手軽に表現できたりします。

「このブラシについて」ではブラシに作者情報(画像、名前、手書きのサイン)を入力できます。また「新規リセットポイントを作成」は、編集中にリセットできるポイントを保存します。

2つのブラシを合成する「デュアルブラシ」の作り方

デュアルブラシは、組み合わせた2種類のブラシを使って同時に描くような効果を得られます。

ブラシのリストを表示して組み合わせたいメインのブラシをタップ(選択中は青色に)、その後に2番目のブラシとして使いたいブラシを右方向にスワイプで選択(選択中は水色に)。
最後に上部の「組み合わせる」をタップすると、2本のブラシを合成した1本のブラシが完成します。

完成したデュアルブラシを編集するには、左上に表示されている2つのブラシプレビューをタップして切り替えます。選択中のブラシには左端に青いラインが表示されます。

選択中のブラシをさらにタップすると、ブレンドモードの切り替えや組み合わせを解除することができます。

Photoshopブラシのインストール

歴史のあるPhotoshop向けのブラシは、有料のものも無料のも非常にたくさんネットで配布されています。ダウンロードする際には利用規約やコストを自身の目で確認しておくようにしましょう。

また配布されているPhotoshopブラシには「.abr」という拡張子のついたものと、「.tpl(Photoshop Tool Preset)」という形式のものがあります。後者はPtocreateで読み込むことはできません。(iPadではArtstudio Proアプリが両方に対応します。)

ダウンロードした「.abr」ファイルは「ファイル」アプリなどからProcreateにドラッグして追加します。

Procreateの側からブラシを読み込むためには、新規ブラシ作成後に表示されるブラシスタジオで上部右端に表示される「読み込む」ボタンをタップします。

PhotoshopブラシのProcreate上での再現度

今回ダウンロードして試してみたのは、Adobeのブラシクリエイター「Kyle T. Webster」さんの「DRY MEDIA」から選んだブラシです。

https://www.adobe.com/jp/products/photoshop/brushes.html

iPad上で最もPhotoshopブラシを正確に再現できるはずのAdobe Frescoと、同じくPhotoshopブラシのインストールが可能なArtstudio ProをProcreateと比較してみました。

試した結果としては、Procreateは正確にブラシを再現できていないことがあります。ブラシによっては調整を加えないとそのままでは、Photoshop上での使用感を再現できないと思います。使えなくはありませんが違和感なく使えるようにするには調整は必要になるでしょう。

Photoshopブラシの再現については、今後のアップデートで改善されていくよう期待したいですね。

アニメーションアシストで手軽にアニメ作りにチャレンジ

「アクション」パネルの中の「キャンバス」を選択。その中にある「アニメーションアシスト」をONにするとキャンバス上にタイムラインが表示されます。これは作業中も常に表示されていますので、ここで確認しながらフレームの追加(レイヤーの追加)や再生などを手軽に行えます。

「設定」ではオニオンスキン(前後のフレームを薄く表示)やループなどアニメーションのパターンを切り替えることができます。

各フレームのサムネイルはタップすると「複製」「削除」が選択できます。また「長押しする時間」で複数のフレームをまとめて移動するなどの操作が可能です。

「背景」をONにするとアニメーションの背景として固定した画像を表示させておくことができます。「背景」は初めのフレームのみ1つだけ指定できます。

Procreateで作成したアニメーションをGIF形式で出力したもの

クローン調整の使い方

「調整」の中から「クローン」を選択します。

キャンバス上に表示されている円をドラッグしてコピーしたい場所の上に移動させます。そのあと円以外の場所を描画すると円の中をコピーして描き出すことができます。

クローンに使用するブラシは初期設定では「中程度のブラシ」が選択されていますが、タップして別のブラシに変更できます。ブラシサイズ、強さのスライダーを調整して自然に見えるように何度かトライするとコツが掴めるはずです。

そのほかユーザーインターフェース改良などより使いやすい進化

ユーザーインターフェースの変更は、全体的にアイコンを多く活用することとパネル内での情報表示から全画面表示への切り替えが行われていました。また一部では日本語訳が不親切な箇所もありましたが、日本語訳は概ね適切に行われており今回も多くのユーザーが受け入れやすい改善だったと思います。

選択範囲は複数保存しておいてすきなときに呼び出せるようになり、選択を使った描画が大変便利になりました。(保存は作品内でのみ保存されます)

iPad版Photoshopへの対抗意識から出たと考えられるPhotoshopブラシ追加や、それに伴うブラシ設定の大幅増も多くのクリエイターにとっては歓迎したい変化でした。

しばらくは不具合の調整アップデートがあると思いますので、大きな変化があればまた記事にする予定です。

Procreateアプリの使い方・機能解説まとめ
Procreate(プロクリエイト)は独自の描画エンジンを使用したiPadの定番お絵かき・イラストアプリです。鉛筆や水彩などアナログ感のあるブラシとApple Pencilのダイレクト感の相性がよく、デジタルイラスト初心者でも気持ちよく絵を...

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