AdobeからイラストレーターのためのiPadアプリ「Adobe Fresco」がリリースされました。リリースされたばかりでまだ機能が少なめですが、それでもリアルな画材を再現したライブブラシやiPad版Photoshopと共通の優れたインターフェースなど話題性の高いアプリです。基本無料で使用できる点も優れています。
ここではすぐに使い始めたい人のための基本的な使い方をざっくり解説していきます。今回はブラシの使い方やパネル操作などについて見ていきます。
アプリの使用開始(ログイン)とキャンバスの作成
アプリを起動したら「Adobe ID」「Google」「Facebook」のいずれかのアカウントを選んでログインします。ログイン自体はどのアカウントでもよいのですが、アプリの使用には結局「Adobe ID」の作成は必須となるため初めから「Adobe ID」でログインするのがわかりやすいと思います。
「Adobe ID」をお持ちでない方は「新規登録」からアカウントを作成してください。
アプリの使用は基本的に無料となります。
一部の機能(PSD形式でのファイル出力やブラシのインストールなど)を使用したいときのみ月額1,080円のサブスクリプション登録が必要です。現時点では登録しても6ヶ月間の無料期間が設けられているためすぐに課金されることはありません。
キャンバスは「新規作成」から追加。全ての作品データはネットに繋がっている限りCreative Cloud上にアップロードされます。
カスタムサイズを選ぶとサイズ、解像度、背景の有無などを指定してキャンバスを作成できます。「このサイズを保存」にチェックを入れてから「ドキュメント作成」ボタンを押すと次回以降も同じ設定のキャンバスが選べる(「保存済み」カテゴリにに追加される)ようになります。
現時点ではカラーモードを選択することはできずRGBで作成されます。
ツールの配置とツールパネルのカスタマイズ
作成したキャンバスを開くと作業画面に切り替わります。
ボタンの配置は上の画像のようになっています。左端ツールバーの中のアイコンは以下のような並びになっています。
- ピクセルブラシ
- ライブブラシ
- ベクターブラシ
- 消しゴム
- 変形(移動)
- 選択
- 塗り潰し
- スポイト
- 画像読み込み
- カラー
- オプション(ツールに応じて表示)
ツールアイコンの下には各ツール使用時に応じたオプションが表示されます。例えばピクセルブラシを選択していればブラシサイズや流量や滑らかさ(手振れ補正)の調整ができます。
ブラシやカラーなどのツールはタップするとパネルが表示されます。通常パネルはポップアップ式で他の操作をすると自動的に閉じられますが、上部のバーをドラッグことで開いたままツールバーの横に固定したり、切り離してフローティングウィンドウとして好きな位置に置くことができます。
またブラシパネル、カラーパネル、ブラシ設定パネルのうち2つまでのパネルを左端に固定して表示することができます。上下の並びはドラッグして入れ替え可能です。
ツールバーの一番下に表示されているオプションは、バーをドラッグして好きな位置に動かすことができます。
右上にあるボタンをタップするとツールを非表示にしたフルスクリーンモードに切り替わります。フローティングウィンドウとして配置したパネルはフルスクリーンモードのときでも残ります。
フローティングウィンドウはフルスクリーンモードのまま作業がしたいときにも活用できます。
3つのブラシの使い分け
「Adobe Fresco」で扱えるブラシはピクセルブラシ、ライブブラシ、ベクターブラシの3種類です。データ形式が異なるためベクターブラシのみ単独のレイヤーとして扱われます。
ピクセルブラシは最もベーシックなブラシで、鉛筆やペンなど他のペイントアプリにもある親しみやすいものが数多く用意されています。通常Photoshop向けブラシとして配布されているファイルの読み込みも可能(有料機能)です。
中でも「Jクリエイター」という名前のブラシセットには、日本から開発に加わったイラストレーターのオリジナルブラシが提供されています。
ブラシ選択時に右端に表示されている星マークをタップすればお気に入りに登録できます。ブラシの種類が多いため、よく使うブラシはあらかじめ登録しておいて「お気に入り」タブから選択すると便利になります。
ライブブラシはこのアプリの目玉とも言えるアナログ画材感覚で楽しめるブラシです。ピクセルブラシとの大きな違いは画面上で画材が変化を続けるところです。
水彩では描いた色は滲み広がり、タッチを重ねたときにも色が混ざり合います。色味も選択した1色以外の色合いも現れます。
ライブブラシの水彩の滲みや混色をコントロールしたいときには「レイヤーを乾かす」を活用します。(ウェットオンウェットとドライオンウェットの切り替え)
画面右端にある3つ点が並んだボタンをタップします。パネルが開き「レイヤーアクション」と呼ばれるレイヤーの編集機能が表示されます。「レイヤーを乾かす」を選択するとその時点で滲みや混色は止まり、上から描いたストロークが滲みにくくなります。
ベクターブラシはフラットな塗りのできるブラシでベクター形式のデータとして作成できるためIllustratorなどで使用するイラスト作りに最適です。
もちろんピクセルブラシ、ライブブラシと組み合わせてより幅広い表現を生み出すこともできます。
ベクターブラシで描いたストロークはベクターレイヤーとして他のレイヤー(ピクセルレイヤー)と区別されます。変形したりピクセルブラシと混ぜ合わせたいときなどは、「レイヤーアクション」で「ピクセルレイヤーに変換」します。
ブラシとタッチショートカット
作業画面の左下にある円は「タッチショートカット」と呼ばれるショートカットボタンです。これはタッチしている間、ブラシに別のアクションを与えることができます。
例えばピクセルブラシではタッチしている間は消しゴムとして使えるためラフを作るときなどに重宝します。ライブブラシでは水彩なら水筆に、油彩ではドライブラシとして使用できます。
「タッチショートカット」の機能を継続して使いたいときにはダブルタップすると円が青くなりロックされます。もう一度ダブルタップして解除するまでアクションが有効になります。
他にも「タッチショートカット」には以下のような機能があります。
- ピクセルブラシ → 消しゴム
- ライブブラシ → 水筆やドライブラシ
- ベクターブラシ → 消しゴム
- 移動 → 変形時の縦横比率の固定
- なげなわ → 選択範囲の追加/削除
- 長方形の選択範囲 → 縦横比を固定
- 楕円の選択範囲 → 縦横比を固定
- 塗り潰し → 塗り潰しで削除
※「タッチショートカット」は他の機能でも別のアクションが用意されていますが、その解説はまた次回以降に行います。
今回は以上です。
記事は後編(後日掲載予定)へ続きます。
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