Procreate 5X アップデート徹底解説。スクリーントーンやグラデーションマップ、色収差など強力なフィルター機能を複数追加!メジャーアップデート並みの新機能

一部機能が公開されてきたProcerateの最新アップデート「Procreate 5X」が遂にリリースされました。今回注目したいのは数々のフィルター機能です。スクリーントーンや色収差、グラデーションマップなどイラストの仕上げに効果的なフィルターを手軽に追加できます。詳細解説していきます。

メジャーアップデート級の大ボリュームの新機能を追加!

  • スクリーントーンなど5種類の新フィルターを追加
  • Pencilフィルター機能追加(Apple Pencilのみ)
  • 資料や全体を表示する「基準」ウィンドウ
  • 写真からカラーパレットを自動作成
  • QuickMenuに複数のプリセット機能を追加
  • 変形ツールのマグネットにスナップ機能を追加
  • 顔にイラストを合成するFacePaint機能(一部のiPadは非対応)
  • 新ブラシ「ブレンドブラシ」を3種類追加
  • 選択ツールに自動塗り潰しモードが追加
Procreate (5.1)
デベロッパー:Savage Interactive Pty Ltd
価格:1220円 (2020/09/22)
互換性:iOS13.2以降 iPad対応

5種類の新フィルター追加とPencilフィルターの使い方


今回のアップデートではフィルター機能が大幅に強化されており、特にイラストなどで人気のあるフィルターが採用されています。フィルターは上部ツールバーの「調整」から選ぶことができます。

新しく加わったフィルターは「グラデーションマップ」「ブルーム」「グリッチ」「ハーフトーン」「色収差」の5つ。また既存のフィルターの「ノイズ」には新しい効果が追加されています。残念ながら「カラー変更」と「不透明度」は削除されました。(不透明度はレイヤー内の”N”をタップして変更)

さらに今までのようにレイヤー全体だけでなく、一部だけにフィルターを追加できるPencilモードが加わりました。


Pnecilモードでは画面上の一部分にペイントツールと同じ感覚でフィルターを加えることができます。ブラシの形状や濃さはペイントで選択しているブラシと同じです。(Apple Pencilか互換性のあるペンを用いる必要があります。指やアクティブスタイラスでは使用できません。)

要望の多かったぼかしブラシも、ぼかし(ガウス)のPencilモードで簡単に再現できます。

グラデーションマップ


「グラデーションマップ」は明暗の変化に指定した色のグラデーションを適用できる、配色を自由に変更できるフィルターです。グラデーションライブラリから好みの配色を選ぶと、選択中のレイヤーの配色が置き換えられます。

新しくグラデーションを追加するときは右上の「+」ボタンをタップします。


グラデーションの上でタップすると色の編集ポイントが追加(左右にドラッグして移動、長押しで削除)されます。カスタマイズしたグラデーションはプリセットとして保存されいつでも再利用できます。

ブルーム


「ブルーム」フィルターは明るい色で描いている範囲に光り輝いているような効果を加えます。ネオンの光や月明かりなど眩しく感じるような、雰囲気のある光の効果が出ます。
トランジション、サイズ、バーンの3つの調整スライダーがあり、バーンの値は輝きの強さを調整できます。

グリッチ


モニタのノイズなどデジタル表現特有の効果を加えるフィルター「グリッチ」には4つのモードが用意されています。(以下ぞれぞれのモードの効果の解説は)


アーティファクト:ブロック状のノイズを加えます。


ウェーブ:横方向の線のずれをランダムに加えます。


シグナル:ブロック状のノイズと色のずれが起きます。


ダイバージ:RGBの色のずれが複合的におきます。

ハーフトーン


ハーフトーン」フィルターではフルカラー、スクリーンのプリント、新聞の3タイプを画面下のボタンで切り替えできます。フルカラーとスクリーンのプリントはいずれもカラー印刷の雰囲気を出していますが、スクリーンのプリントではドットの隙間が透けています。

また新聞は漫画などのスクリーントーンと同様に黒色1色のドットで表現します。ドットの大きさや密度は使用している色の明度に比例して変化します。

色収差


色収差」フィルターには2種類のパターンが用意されており、「遠近法」では画面上に配置されているグレーのパックの位置を起点にして放射線状に色ずれができます。例えば上の画像のように中央にパックがある場合、中央から画面の外側に向かって色がずれて描画されます。


色収差の「置き換える」では指でドラッグした位置と距離で色ずれの角度と大きさが決まります。色ずれの透明度とぼかし具合は、画面下のブラー、透明スライダーでコントロールできます。

キャンバスの全体表示や資料を配置できる「基準」ウィンドウとFacePaint


資料画像を表示したりキャンバス全体のプレビューをウィンドウで表示する機能「基準」が追加されました。アクションの中にあるキャンバス→基準をオンにするとウィンドウが開きます。


ウィンドウにはキャンバス全体のプレビューを表示したり、アルバムから写真を読み込んで資料として見ながら描けます。読み込んだ画像は2本の指を使って拡大縮小して好きな角度に配置できます。ウィンドウ自体も指で端をドラッグすると移動やサイズの変更が行えます。


顔にイラストを合成できるユニークな機能「FacePaint」は「顔」を選ぶと、ウィンドウ内でプレビューしながら描くことができます。(FacePaint非対応のiPadモデルでは表示されません。)FacePaint使用中ははキャンバスに目と鼻と口の位置が十字で表されます。

QuickMenuに新しくプリセットを複数登録可能に


QuuckMenuは画面上に表示してすばやくツールにアクセスできるショートカットボタンです。登録できるボタンは全部で6個までという制限がありましたが、今回新たにプリセットを複数登録できるようになりました。例えばよく使うブラシだけのセットやアニメーションを作るときに使うセットなど、作業に合わせた最適なプリセットを用意することができるようになります。

プリセットの切り替えは中央に配置されているボタンをタップ。セットの切り替えの際にわかりやすいように、各プリセットにはわかりやすい名前をつけておくといいでしょう。タッチ長押しでセット名を編集できます。

変形ツールではバウンディングボックスの編集と数値を入力した正確な回転が可能に。スナップ機能と組み合わせよう


変形ツールでも大きな変更がありました。まず回転に使う点線の選択範囲の上にある緑のノードに加えて、選択範囲の下の黄色いノードが増えました。この黄色のノードはバウンディングボックスの編集に用います。


例えば手書きの文字を斜めに書いたあとで水平に角度を整えたい場合、スナップをオンにした状態で黄色のノードを回転させます。すると手書き文字の下のラインにあわせてノードがスナップします。


そこで今度は緑のノードをタップして数値を0に入力すると、水平に文字を回転できました。


スナップ機能も今回新しく追加された機能で、図形や文字の端を揃えたいときやキャンバスの中央に揃えるときに重宝します。既存のマグネットとスナップは個別にオンオフできます。作業用内容に合わせて切り替えましょう。

写真からカラーパレットを自動で作成


カラーパレット上部右上にある「+」ボタンには新しく”写真”から新規という選択肢が追加されています。カメラ、ファイルから新規でも同様に写真を選択するとその画像内の主要な色の組み合わせから自動的に30色のカラーパレットを作成してくれます。

カラーパレットのファイル形式についても、新しくAdobe ACOとASE形式をサポート。

選択ツールの塗り潰し機能


選択ツールには「塗りのカラー」という設定が追加され、オンにしておくと選択範囲を自動で選択色で塗り潰します。編集中は色を変えることもできるため、配色を考えながら塗る色を決定できます。

自動+塗りカラー”オン”の組み合わせで塗り潰しツールの代わりとして使用できます。

混色が美しい「ブレンドブラシ」が4種類追加


ブラシにも1つ新しい機能が追加されました。ウェットミックスの中に「ブラー」というパラメータが追加され、この機能を加えると筆圧を弱めたままで筆を動かすとかなり滑らかな混色ができるブラシになります。

新しいブラシはエアーブラシの中に登録されていて、混色の強さを変えた4種類が用意されています。

フォント編集画面の変更と簡易な編集メニューの表示


フォント編集画面で数値をボタンやキーボードで入力できる用になっています。またテキストの縦書き変換ボタンが追加されました。フォントの編集画面を表示するには右下の「Aa」と表示されたボタンをタップします。


またフォントを選択したときにメニューが表示され、一部のフォント調整や選択、コピー&ペーストなどの編集が行えます。フォント名やスタイルの表示部分をタップすることでフォント編集画面を開くこともできます。


iPadOS14をインストールしたiPadでは、新機能のScribbleを用いてApple Pencilによるテキストの手書き入力が可能です。

その他の変更点


iPadOS14の新機能に対応したウィジェットとして最近の作品を表示。


コピー&ペーストのインターフェースが刷新され、ウィンドウの移動が可能に。コピー&ペーストは複製に名称変更。


キャンバスサイズの変更画面でサイズの入力欄は「設定」から表示。スナップ機能の追加。

バージョン5Xの理由


以上、バージョン5Xのアップデート内容の解説でした。今回のバージョンは通常なら5.1としてリリース予定だったようですが、コロナの影響からか複数の小さなアップデートをまとめて1つにしてリリースすることになったため、準メジャーアップデートとして5Xという名称に変更されたようです。(過去の例ではバージョン4.1、4.2、4.3がリリースされています。)

とはいえメジャーアップデートにならなかったのが不思議なほど新機能が詰め込まれた5Xアップデートでした。気が早いですが、次のProcreate 6のリリースも楽しみですね。

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