約10ヶ月ぶりのメジャーアップデートである「Procreate」バージョン4.1がリリースされています。今回のアップデートでは、「描画ガイド」を使ってパースだけでなく対称(シンメトリー)描画が可能となります。また変形ツールにはメッシュ変形できるワープが追加されています。
ジェスチャーコントロール設定などのデザインも刷新されており、多くの改良と新機能が盛り込まれた待望のアップデートです。今回も詳しく解説していきます!
Procreate 4.1アップデート内容概要
バージョン4.1には以下のような機能追加や改善が加えられています。それぞれの機能については実際に触ってみた感想も含めて以下に解説していきます。
ワープ変形
新しい変形モードを使ってテクスチャをワープおよび折りたたむことで、イラストレーションにより奥行きを加えることができます。ゆがみ
Silica-Mエンジンのパワーを利用し、イメージのどの部分でも渦巻き、膨張、ピンチ、および再構築して驚きの新しいエフェクトを加えられます。描画ガイド
新しく 2Dおよびアイソメトリックガイドを正確なコントロールで作成できるようになり、描画アシストがさらにパワフルになりました。対称描画
ストロークがキャンバス上でミラーリングしたり回転したりして、美しいデザインと構成を作成するのを目の当たりにしてください。ブラシ、ぼかしと消しゴム、またはColorDropも使って描画できます。ジェスチャコントロール
Procreateのジェスチャのカスタム機能が完全にデザインを一新し、必要な機能をよりよくコントロールできるようになりました。レイヤーを選択
ジェスチャコントロールの新しいオプションを使うと、キャンバスのコンテンツからレイヤーを選択できます。30秒タイムラプス
Procreateの既存のタイムラプス録画機能と共に、新しく自動的に短縮された30秒バージョンを書き出すことができるようになりました。SNSに最適。ブラシセットを読み出し/書き出し
ブラシセット全体を1つのファイルとして共有および読み込むことができます。全般的な改良
今回のアップデートには多くの改良と修正も含まれています。その中にはQuickLineとの操作性の向上、レイヤーのカラー反転オプション、大幅に改良された変形のサンプリングなどが含まれています。
対象(シンメトリー)描画などができる新「描画ガイド」
以前までの「遠近法ガイド」は新しく「描画ガイド」に置き換わりました。遠近法(パースペクティブ)に加えて2次元、アイソメトリック、対称(シンメトリー)の4種類のモードが選択できます。
「描画ガイド」に沿って描ける機能を「描画アシスト」と呼びます。「描画アシスト」が有効なときは、レイヤーにアシスト中と表示されます。レイヤーごとにアシストの有無を設定できます。
「描画アシスト」はレイヤーをタップして表示されるメニューからオンオフを切り替えることができます。
では以下にそれぞれのモードを紹介します。
まず2次元は水平垂直方向のガイドで、アシスト中に描く線は全て水平垂直に補正されて描かれます。画面上にグリッドを表示できるので手書きメモ作りでも活用できそうです。
続いてアイソメトリックでは垂直と斜め45度に格子状にガイドが表示されます。描く線はそれに習って描かれるので、マインクラフトのようなボクセルアートのイラスト制作にも向いています。
遠近法(パースペクティブ)では3点までの消失点を使ってガイドを作成できます。今までの遠近法ガイドと変わらず建物を描くために欠かせないツールとなっています。
遠近法を使用している間は、ガイド線は表示されませんが垂直水平にもガイドに沿って描かれます。
最後に、対称(シンメトリー)では対称となる線を境にして同時に描くことができます。水平、垂直、象眼、放射相称の4つのモードが用意されており、模様を描いたりシンメトリーなイラスト作りに活用できます。
対称線は青い点で表示されている編集ポイントをドラッグして好きな位置に移動できます。また、緑色の点を動かして角度を調整できます。
回転の相称をオンにすると線対称から点対称に切り替わります。
「描画ガイド」を使って描くためのポイント
実際に対称モードを使用して描いてみました。「描画アシスト」使用中でもキャンバスの回転や指での消しゴム、塗りつぶし(Color Drop)、直線ツール(Quick Line)など使用しても問題なく描画できます。
「Quick Menu」には今回追加された「描画アシスト」と各モードが選択できるようになっており、素早く切り替えて使用することができます。
以下新しく追加された「Quick Menu」の機能です。
- 描画アシスト (描画アシストのオンオフ切替)
- 2次元
- アイソメトリック
- 遠近法
- 対称
- レイヤー選択
「描画アシスト」の切り替え方法はいくつか用意されていますが、やはりレイヤーを開いて切り替えるのは少々手間がかかりますね。「Quick Menu」もしくは後で解説しているジェスチャーコントロール設定で「□」などに割り当てるのが効率的だと思います。
「ワープ」モードを備えた進化した変形ツール
変形ツール(上部矢印のアイコン)に追加された「ワープ」を待ち望んでいた人も多いはず。画面にはメッシュと呼ばれる縦横3分割のグリッドが表示されます。
表示されているメッシュの範囲をドラッグすると、ドラッグした方向に引っ張るように形状を歪めていくことができます。
さらに細かく調整が必要であれば、画面下右端にある「高度なメッシュ」を選択。メッシュに編集ポイントが表示されドラッグして変形することができます。
新フィルター「ゆがみ」
フィルターに追加された「ゆがみ」は、キャンバスにタッチしていると渦を巻くように形が変形していきます。マーブリングをご存知の方はそれと同じものをイメージしてもらうといいでしょう。
画面下にある「プッシュ」「余計周りに渦動」「反時計回りに渦動」「ピンチ」「膨満」で変形を行い、「変形の再構築」「アジャスト」「リセット」で修正やリセットを行うことができます。
刷新された「ジェスチャーコントロール」に「アシスト付き描画」「レイヤー選択」設定が追加
「高度なジェスチャーコントロール」の設定パネルはデザインが刷新され、新しい機能がいくつか追加されています。名称も「ジェスチャーコントロール」と変更されています。
ここでは今まで通り指とペン、Quick Menuなどに割り当てるジェスチャーの設定が行えます。今回から各ツールごとにタブ表示されるようになり、以前より設定がわかりやすくなりました。
そして新しく「アシスト付き描画」の項目が加わり、「描画アシスト」の使用に好きなジェスチャーを割り当てできます。例えば、通常の描画はApple Pencilで、□+Apple Pencilでは「描画アシスト」で描くといった高速な切り替えも可能になります。
「レイヤーを選択」で描画内容から素早くレイヤーを切替
「レイヤーを選択」はキャンバスをタッチすれば、その場所の描画を含むレイヤーを選択できる超便利な機能です。レイヤーごとに塗り分けるようなイラストで、レイヤーウィンドウをほとんど開くことなく作業することも可能です。
描画内容が複数のレイヤーに関わっている場合、選択するレイヤーの候補が表示されるのでその中から1つを選択します。
ブラシセットの読み込みと書き出しが可能に
ブラシの共有機能はこれまでも提供されていましたが、複数のブラシをまとめてインストールするには少し手間がかかっていました。これからはブラシセットとして1ファイルに読み込みと書き出しが可能になります。
ブラシセットは新しく「.brushset」という拡張子のファイルとして扱われます。
↓Procreateに対応するブラシセットなどのデータ配布しています。
Quick Line(直線ツール)に2つの変更点
直線ツールには2つの変更が加えられました。1つはドロー&ホールドした後直線に変換されたらすぐに青色の編集ポイントが表示されるようになりました。
【追記】バージョン4.1.2にて上記仕様が変更され、Quick Lineで描いたあとに「元に戻す」(ジェスチャーでは画面を2本指でタップ)をすると青色の編集ポイントが表示されるようになりました。
今までは変型ツールに切り替えて表示していた、ポイントで直線を編集できるモードにすぐ切り替わるようになりました。もう1つは線の中央にもドラッグして移動できる編集ポイントが表示され、線の角度を維持したまま好きな位置まで移動できるようになっています。
直線の位置や角度を調整し終えたら、キャンバスを1回タップすることで確定します。
レイヤーの編集メニューに「反転」追加とデザインの改良など
今回のアップデートでは細かな機能追加や仕様の変更も複数あります。以下は変更内容をまとめたものです。
- 明るいインターフェースではメニューウィンドウの背景が白に
- Split View使用時のレイヤーウィンドウの表示サイズをやや小さく
- レイヤーメニューに「反転」追加(レイヤー内のカラーを反転)
- キャンバス情報の表示画面がウィンドウ表示に変更
- タイムラプス動画出力に「30秒」が選択可能に
- ブラシ動作に「輝度のブレンド」設定追加
- 選択ツールのインターフェースを刷新
描くことがさらに強化され魅力が倍増した新「Procreate」へ
「Procreate」には未だにテキストや図形を描けるツールがありません。ひたすらに手で描ききることが要求される、描き手の力量が試されるペイントツールです。バージョン4.1では「ワープ変形」や「対称」などちょっとだけ手を抜いて描けるデジタル要素が追加されています。
ツールに頼れない「Procreate」のストイックさに馴染めなかった人も、ぜひもう一度アプリを開いて新ツールを試していただきたいと思います。
ちょっとだけ優しくなった新「Procerate」が待っています。
↓修正アップデートが配信されています。ぜひご確認ください。
↓Procreateアプリの情報をまとめています。
コメント
いつもProcreateに関するブログを見させて頂いております。詳しい使い方やアップデートに関する情報などをいち早く更新してくださり、とても助かっております。
一つお聞きしたいことがありまして、お時間がありましたらご返信頂ければ幸いです。
矢印アイコンでレイヤー等の移動が可能だと思うのですが、4.1アップデート後はその移動が非常に重たく感じます。以前はカクつくこともなく、スムーズに移動出来ていたと思うのですが…。
何か設定や別操作で以前のような動きに戻せるのでしょうか?
そのような不具合があるようですね…。
私の手元では9.7インチiPad Proでのみ発生していますが、林檎さんはどうでしょうか?
今のところ解決方法などはわかっていません。お役に立てず申し訳ないです。
早いご返信ありがとうございます!
私の使用しているiPad Proは12.9インチです。
引き続き改善できるか試行錯誤してみましたが……以前のようなスムーズさには戻りませんでした。アップデート直後なので仕方ないですかね
いえいえ!とんでもありません!いつも為になるブログを更新して頂けて、とても助かっております。ありがとうございました!
いつも情報ありがとうございます。
ひとつお聞きしたいのですが、
Quick Line(直線ツール)の編集ポイントですが、表示offにする設定はないのでしょうか?
いままでサクサク直線引けてたのですが、つどつど確定しないといけないというのが
ものすごくめんどくさくて…。
そういった意見も多いですね。
残念ながら仕様変更なのでオフにすることができません。
離れた位置であれば確定操作せずにそのまま描けますが、近い場所だとポイントをドラッグしてしまってダメですね。
いつも参考にしております。
自分もiPad Pro9.7ですが選択移動がカクつくようになってしまいました。
ゆがみツールはスムーズに動くのでなんらかのバグだとは思うのですが。
早く修正されることを祈っています、
コメントありがとうございます!
やはりというか今回もバグありましたね。
他にもいくつか気になる点もあるので早めの修正を期待しましょう。
いつも楽しく見せてもらっています。
こちら初代12.9ですがやはり選択移動拡縮はカクついています。
試しに言語表示を日本語から英語に変えて見たところ普通に動くことを確認しました。
言語ごとのバグチェックをしていないことが原因でしょうね。
貴重な情報ありがとうございます!
確かに言語設定を変更すると直りますね…。
ベータテスト版では日本語環境でも問題なかったのですが、どうしてこうなったのか謎です。
対応する言語が増えたのでその分手間がかかっているのかも。